希望を最大限かなえうる受験プランを
第1志望校をある程度絞り込めたら、志望校と併願校の組み合わせ(=受験プラン)を立てる段階に入ります。中学校からも何度か、志望校調査票(進路希望調査票)が配布され、記入・提出するよう求められている時期です。
日々の受験勉強はもちろんですが、納得のいく受験プランを組み立てることもまた、非常に大切な受験対策です。地域の入試システムについてよく調べ、五ツ木模試の結果を考慮しながら、希望を最大限かなえうる受験プランを組み立てましょう。
1受験プラン(志望校と併願校の組み合わせ)を考える
第1志望校が絞り込めたら、それを軸に併願校をリストアップ・決定していきます。併願校とはいえ、実際に入学する可能性のある学校です。第1志望校同様、併願校も、できるだけ実際に見学に行き、自分の進路や希望の高校生活に合う学校をリストアップしましょう。各府県ごとの受験システムを調べ、第1志望校とどのような組み合わせが可能かを調べておきます。
併願校は一般に、第1志望校と同じ入試科目であるほうが有利です。入試科目を揃えることにより、効率的に学習が進められます。入試科目だけなく、出題傾向や解答形式にも注目します。
併願校選びは、第1志望校の合格可能性にかなり左右されます。第1志望校の合格可能性に不安がある場合は、かなり高めの安全圏内(A判定)にある学校を併願校にする必要があります。逆に、第1志望校が安全圏であれば、併願校においても、自分の希望を最優先し、学力的に最適、もしくは第1志望校より少しだけ難しめの学校にチャレンジすることも考えられるでしょう。
その「志望校の合格可能性」をより正確に見極めるには、「成績の動き」も非常に大きな判断材料となります。この時期までに五ツ木模試を複数回受験しておくと、回ごとの出題内容やその日の調子に左右されない、長期的観点から見た「成績の動き」が読みとれ、そこから「今後の成績動向の予測」が立てられます。たとえば、五ツ木模試を複数回受験して、これまでに成績が上がる傾向にあるならば、これからも伸びる可能性が高いと判断できるため、少し強気の受験校選びが可能と見極められます。
「志望校の合格可能性」のより正確な見極めのためにも、ぜひ五ツ木模試を多くの回受験することをお勧めします。
- 模試の受験回数と「今後の成績動向の予測」との関係
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模試の成績には必ず上下があります。しかし、2・3回分の模試データでは、上昇・下降・上下変動のいずれであっても、それがあなたの成績の傾向であるのか、それとも、回ごとの出題内容や模試の日の調子によるブレと判断すべきなのか、見極めが困難です。しかし、4・5回分以上の模試データからは、「成績の動き」の傾向が読みとれるうえ、今後の成績動向を予測することが可能となります。
●2回受験……必ず成績は上下するが、傾向とはいえない。
●3回受験……成績の上下が、傾向であるのか、回ごとの出題内容や模試の日の調子によるブレであるのかの見極めは難しい。
●4回以上の受験……ある程度長期的な観点から見た「成績の動き」の傾向が読みとれ、今後の成績動向を予測できる。
4回以上の模試受験の結果からは、今後の成績動向の予測が可能となることがわかります。志望校の合格可能性をより正確に見極めるために、ぜひ4回以上の五ツ木模試の受験をお勧めします。
秋以降、先生に尋ねれば、おおよその内申点(現時点での暫定的な内申点)を教えてくれる中学校もあります。公立の受験校を決める場合、その内申点も合わせて、再度、五ツ木の個人成績表を見直してみてください。五ツ木模試では、各回の模試の成績から内申点を「標準内申点」として予測しています。下の例の場合、内申を210~219と予測し、C判定を出していますが、もし実際の内申点が230点であればB判定、判定が1つ上がります。
また、五ツ木模試の個人成績表には、「自分の志望校(公立)に対して先輩方がどの高校を併願校にしたか」が掲載されています。先輩方の併願校から自分の併願校を探していくのも有効な手段です。
- 受験校プラン例 ①・・・公立校が第1志望の受験生の場合
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●第1志望校=公立受験校を決める
この受験生は、第7回までの全6回受験のうち、5科目平均で成績は偏差値65~偏差値57。平均偏差値は61でした。
五ツ木模試第7回の個人成績表「5科目偏差値の動きと次回の期待偏差値」グラフを見ると、秋に一度偏差値がダウンしていますが、その後、堅実に偏差値を上げています。この受験生は、自分の成績は上昇傾向にあるのではないかと見極めました。- この内申点も考慮すればB判定であること
- 秋以降、成績が上昇傾向にあること
の2点をを考え併せ、この受験生は第1志望校のA校にチャレンジすることに決めました。
※予想内申点は、今回の模試の成績(5科目)から推測しています。個人それぞれによって違いますので、この表に出ている数値とは大きく異なることもあります。
●併願校=私立受験校を決める
次に私立の併願校を決定します。
この受験生の私立第1志望校のQ大附属高校・特進コースの場合、併願の合格判定はC判定4回、B判定が2回でした。
私立第2志望のR学園・進学コースの場合、併願の合格判定はすべてB判定でした。公立の第1志望校はA高校に決めましたが、少し厳しい面もあるため、私立入試ではすべてB判定の出ているR学園高校・進学コースを受験することに決めました。以上のようにして、この受験生は受験プランを組み立てました。私立入試は2月上旬、公立入試は3月中旬。最後まで正確な学力(とその伸び)の把握と確認が重要であると考え、この受験生は五ツ木模試の第8回(最終回)も受験して、志望校合格をめざします。
- 受験校プラン例 ②・・・私立校が第1志望の受験生の場合
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●第1志望校=専願私立受験校を決める
ずっと前から私立S高校に通うのが夢だった受験生の例です。第6回までの全5回受験のうち、入試科目5科目の平均での成績は50.1~52.9。平均偏差値は51.7でした。
第1志望のA高校・文理特進コース専願の合格判定はこれまでに、B判定2回、C判定3回が出ています。今回はB判定でした。一方、第2志望のT高校・進学コース専願であれば、B判定1回、A判定4回で安全圏内です。
この受験生はS高校かT高校かで悩んだすえ、「やはり第1志望はあきらめたくない」「私立受験では第1志望校にチャレンジする代わりに、もしダメな場合に受ける公立高校は安全圏内の学校にしよう」と考え、私立受験では第1志望のS高校を専願で受けることに決めました。
●万が一ダメだった場合の公立受験校を決めておく
2月初旬~中旬の私立合格発表で万が一、私立第1志望校がダメだったとわかった場合、公立一般入試(2月末~3月初旬)に出願しなくてはなりません。その場合の受験校候補として、この受験生はD高校とE高校を考えています。この受験生はこの2校の特長や、これまでの五ツ木模試での合格判定、おおよその内申点から見た合格判定などを書きだしてみて、自分の考えをまとめることにしました。
第1志望の私立受験では少し難しめのS高校にチャレンジすることを決意しています。万が一、公立高校を受験する必要が出てきた場合、公立受験にはもうあとがありません。その場合は、より合格可能性の高い公立高校を受験する必要があると考え、この受験生は、公立高校の受験校をE高校にすることに決めました。
以上のようにしてこの受験生は受験プランを組み立てました。- 五ツ木模試の第7回(特別回)では、私立志望校で受験のリハーサルが体験できる
- 公立E高校の受験にはあとがないため、最後まで正確な学力の把握が重要
という2点から、この受験生は、五ツ木模試の第7回・第8回も受験して志望校合格をめざします。
ここにあげた2つの受験プランはほんの一例です。各府県ごとの入試システムや各々の「志望校探しの基準」、志望校への思い入れの強さによって、併願校の組み合わせ方にもさまざまなパターンがあります。また、このようにスムーズに組み立てられるものではなく、再考や再決定を繰り返しながら決定していく場合も多いでしょう。五ツ木模試の結果を参考に、保護者の方や先生に相談しながら、納得のいく受験プランを組み立てましょう。
2三者面談
三者面談とは、中学校の先生・保護者・受験生の三者で、受験校を決める大切な面談です。11月下旬~12月初旬の面談を含め、複数回行われます。
中学校の先生は、「教え子全員に納得のいく受験をしてもらいたい」と同時に、「必ずどこかの高校に入ってもらいたい、行く高校のない生徒を一人も出したくない」とも考えておられます。ですから、「今の学力と成績で合格の確実な学校を受験校に」という、慎重な指導をなさることが多くなります。
三者面談は、先生のお話を伺う場であると同時に、受験生と保護者の気持ちや考えを伝える場でもあります。「行ける高校」でなく「行きたい高校」を受験するために、先生からのアドバイスを待つだけでなく、前もって親子でしっかり受験校を検討し、希望する受験プランを考えておくことが大切です。
準備をしておけば先生のお話がよくわかるはずです。事前に考えたことと先生のアドバイスの方向がちがう場合でも決して頑なにならず、真摯に先生のお話に耳を傾ける心構えは持っておいてください。
三者面談をより充実した話し合いにできるよう、以下の4点について準備しておきましょう。
受験生の意思と志望動機の確認→親子の意見の一致
「第1志望はどの学校か」「どうしてその高校がよいのか」「万が一受験できなかったら(不合格だったら)、ほかにどんな高校を考えているか」など、受験生自身の意思や考えを、保護者の方がまずしっかり聞いてあげてください。そのうえで保護者の方のお考えを伝え、互いの考えを再確認しておきます。
次に、五ツ木模試の結果を参考に、志望校の受験が妥当かどうかを検討・確認し、受験プランもある程度固めておきます。先生に、志望理由(「なぜA高校がよいのか」もしくは「なぜA高校でなければだめなのか」)、受験プラン案(「第1志望のA校を受験できる場合はP校を併願校に」「A校の受験が難しいようであればB校を第1志望に」など)について、考えを伝えられるようにしておきましょう。
三者面談を充実した話し合いにするためには「親子で一致した意見」で臨むことが重要です。また、この時期に親子で意思を固めておければ、それが、冬からの追い込みの時期を親子で乗り越えるための力にもなります。
学力(実力テストの結果)と内申点の把握
校内実力テストや内申点で志望校に合格できる成績が取れていなければ、先生は、もう少し安全圏の高校を提案されます。これまでの実力テストの結果や通知表の結果を再確認しておきましょう。
学力は、複数の観点から見るとより正確に把握することができます。五ツ木模試の場合は、府県全域の受験者を母数とした場合の診断結果。学力をもう1つ別の観点から見た重要な判断材料となります。五ツ木模試の結果もあわせて、学力を正確に把握しておきましょう。
情報収集
入試システムについて、よく親子で調べておきます。先生から別の学校や受験プランを提案されても、お話についていけるよう、志望校・併願志望校以外の受験適正校の合格ラインや情報も把握しておくとよいでしょう。
面談当日の時間配分と質問の優先順位を考える
三者面談の時間は限られています。事前に十分な下調べをしておきましょう。疑問や不安については納得いくまで質問できるよう、簡潔に要点をまとめ、質問に優先順位をつけておくようにします。現状での問題点はなるべくスムーズに伝え、「これから具体的にどうするとよいか」という改善点の把握に時間を割きましょう。
三者面談で受験校が決定すると、入試本番がぐっと現実みを帯びてきます。焦りも、過信も禁物です。三者面談で伺った話も奮起の材料とし、冬からの追い込みシーズンを精いっぱい頑張りぬきましょう。
3受験校決定後
受験前に、1月末から3月、出願から志望校受験・合格までのスケジュールを、自分の受験プランに合わせてシュミレーションしておきましょう。
- 私立校または前期の合格発表後、次の出願校を最終決定するまでの日程は?
- 出願変更が可能な場合、どういう倍率になったとき、どういう選択肢があるか。
- 誰にいつ相談できるか。決定のリミットはいつか。
万が一の事態を考えるのは怖いことですし、想定外の事態が起こるのも怖いことですが、いちばん怖いのは、想定外の事態が起きたうえにそれについて考える時間がないことです。合格発表や倍率の公表を聞いてから悩む時間はあまりありません。受験前にあらかじめ、さまざまな事態を想定して話し合い、方針や気持ちを固めておきましょう。
あとは合格をめざして精いっぱい努力するのみです。冬は時間を測って過去問にも取り組み、受験校の問題傾向も把握しておきます。体調管理に気をつけ、入試に合わせて生活リズムは朝型へシフトしておきましょう。
受験生の学力は、最後まで伸びます。受験勉強は大変ですが、今の頑張りは必ず、「ベストを尽くした」という大きな自信につながり、受験本番で自分を支える大きな力となります。その力はのちに、高校入学後の勉強にも、さらには将来の目標を達成する際にも、役立つ力となるでしょう。志望校合格をめざして、精いっぱい頑張ってください。