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近年、全国的にすすめられてきた学区拡大・撤廃の流れの中、大阪府後期入試も9学区制から4学区制に改編され、実施されることになりました。これを受け、公立高校側も、中学生向けの高校説明会を例年より早く1月から行ったり、回数を多くしたりして、「選ばれる高校」として、中学生・保護者へのアピールを強めています。
このような動きの中、今後、中学生・保護者の新学区への関心は、漠然としたものから、模擬テストの結果などを通して、実際に受験する高校選択へと移っていくことでしょう。今号では、5月14日に実施した第1回模擬テスト会での受験生の志望高校(大阪府後期入試の第1志望校)をもとに、新学区における、新しく加わった地域からの志望状況(旧の学区間を移動した志望状況)と、人気校、注目校について見ていきましょう。 |
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学区によって異なる志望状況
大きく動く新3学区 |
右のグラフ1は、第1回模擬テスト会で受験生が書いた志望高校について、旧(九つ)の学区内からの志望割合と、新しく受験できるようになった地域からの志望割合を示しています。これを見ると、新3学区(旧5・6・7)の移動が大きく、新2学区(旧3・4)が続き、新1学区(旧1・2)と新4学区(旧8・9)はほぼ同程度となっています。以下、詳しく見ると、新3学区では旧5・7→旧6が35.4%、旧6・7→旧5が14.3%であるのに対して、旧5・6→旧7は4.2%と、大阪市内への流れを読み取ることができます。新2学区では旧4→旧3が17.9%であるのに対して、旧3→旧4が3.5%と、ここでも都心への動きを見ることができます。新1学区では、旧2→旧1が8.0%、旧1→旧2が5.0%、新4学区では、旧9→旧8が8.7%、旧8→旧9が2.3%となっています。
新3学区での移動が大きい要因として、この学区は今回の改編で唯一、三つの学区が一つに統合されたこと、JR・近鉄「鶴橋」駅、JR「天王寺」駅、近鉄「阿部野橋」駅などのターミナルがあり、鉄道や地下鉄を利用したアクセス網が発達していることが挙げられます。新2学区も京阪本線やJR東西線、地下鉄を利用すれば、「京橋」駅や「天満橋」駅を起点に、大阪市内の高校に便利に行くことができます。
今回の改編後、旧の学区間の移動がどれだけすすむかの鍵をにぎるのは、一つは30年前と比べて大幅に整備された鉄道網だといわれています。ターミナル駅や最寄り駅と高校との位置関係です。アクセスがよければ、距離が多少伸びても通学時間は少なくてすみますから、より自分の希望に近い高校にチャレンジできるわけです。もう一つは都心志向。先行して学区が拡大・撤廃された東京都や神奈川県で顕著に見られました。この二つの傾向は切り離すことができず、実際に志望高校を選ぶ段階になるとさらに激しくなると予想されています。 |
専門学科のある都心部の高校に人気集中 |
次に、高校別に新しく受験できるようになった地域からの志望が多いところを見ていきましょう。全学区を通してこの割合が最も大きいのは天王寺高校。表1から天王寺志望の半数近くは地元の旧6学区以外からであるとわかります。これは、天王寺は学区間移動が最も大きい新3学区にあること、すでに理数科に広い範囲から生徒が通学していることがその要因と考えられます。同じ理数科をもつ大手前高校も旧4学区からの志望が26.7%で、3番目に高い割合になっています。音楽科のある夕陽丘高校(新3学区)も、20.6%と高い人気となっています。
普通科のみの高校では、新3学区の高津高校が31.7%で最も高く、清水谷高校がそれについで23.4%となっています。この2校と、先に挙げた大手前・夕陽丘は、私立・公立の有力高校が多い上町台地にあり、ここは大阪の文教地区とされてきたところです。上記以外の注目校やエル・ハイスクールでは、北野・三国丘・鳳が10%をこえているものの、多くは10%以下で、現時点での中学生・保護者の慎重さもあわられています。
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人気校の動きを見る |
中学生・保護者にとって最も気がかりなのは、今後、どの高校に人気が集中するかです。今回の改編にあたっては、受験生の学区間の移動に注目が集まっていますが、一方で地元集中の視点も必要です。遠距離通学を避け、これまで通り旧学区内の学校に通いたいと考える受験生も少なくないと考えられるからです。表3は、旧学区を単位に、高校別の志望率(高校ごとの旧学区からの志望数÷旧学区で後期入試の高校を志望した総数)を算出し、それを昨年のものと比較し、増加した高校を数値の高い順に並べたものです。学区が拡大すると、中学生が選べる高校が増えるので、一般に各高校の、旧学区からの志望率は下がると予想できます。そんな中、この割合が増えた高校は、地元の中学生に人気があると考えてよいでしょう。このような高校をみていきましょう。
最も増えたのは旧5学区の布施高校で6.6%増。近年は、大学進学を目標としてはっきり打ち出していることが人気につながっていると見られています。また、旧6学区からも自転車で通えることなど、旧他学区からの受験者増も予想されています。次は旧1学区の箕面で4.5%増。国際教育科を併設し、近年は高い倍率を維持しています。3番目は同じ旧1学区の刀根山。地元での人気に加えて「モノレールの開設・延伸で、旧1学区より旧2学区からのほうが通いやすい地域もある」とのことです。ついで旧7学区の河南が3.1%増。高3生に週4日7限目に受験対応の自由選択科目を用意するなど、部活だけでなく大学進学にも力を入れていることが地元での根強い人気となっているようです。その他の注目校としては、旧2学区の北千里高校が2.4%増。今春まで学力向上フロンティアハイスクール(高校選びのための用語解説参照)の指定を受け、大学進学実績も向上したことと、高2で文型1・文型2・理型、高3で理型がさらに1・2に分かれる独自の類型制が受験生にアピールしているようです。また最も近い中学校が旧1学区にあるなど、旧1学区からの志望も見込まれているようです。
エル・ハイスクールは、旧8学区の泉陽が2.7%増、三国丘が2.6%増。また八尾も2.1%増と地元に根強い人気があることをうかがわせます。旧学区からの志望率が低い学区の中にあって、旧4学区の寝屋川は0.9%増。今春からはSELHi(高校選びのための用語解説参照)にも指定され、特色ある教育が注目されているだけでなく、「本年度に入ってから独自の説明会を3度開催するなど、全教員が積極的にPRに努めている」とのことです。また「京阪寝屋川市駅から近く、30年以上前は大阪市内から通う生徒も多く、今回もそうした動きが期待できる」としています。
今後、学区間移動が大きい(新しく受験できるようになった地域からの志望が多い)と予想される学区では、注目校を軸に、受験動向はかなり変化すると予想されていますが、一方で地元集中の可能性のある高校の志望状況にも注意が必要です。いずれにしても、これからが本番。19年度入試は、目が離せない展開となることは間違いないでしょう。
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